HOME > よくある質問 > 損害賠償について >個人事業主や会社役員で後遺障害が残った場合の逸失利益について教えてください。
会社役員をしています。交通事故に遭い、後遺障害が残りました。
会社は私が仕事をしないと回らないため、怪我の後遺障害によって影響が出ています。
このような場合逸失利益はどのように算定されますか。
個人事業主の場合、 前の年に所得として申告した金額を基礎年収とし て逸失利益を算定します。会社役員の場合、収入のうち、労務の対価部分のみを基礎収入として、逸失利益を算定します。
交通事故によって被害者に後遺障害が残った場合、交通事故がなければ得られたはずの利益を逸失利益として、加害者に請求できます。計算式は下記のとおりです。
基礎年収×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
では、交通事故によって後遺障害が残ってしまった被害者が、個人事業主であった場合の逸失利益の算定はどのようになるのでしょうか?基本的には、前の年に所得として申告した金額を基礎年収とします。場合によっては、前の年だけでなく、交通事故の数年前の申告所得を用いることもあります。また、申告の所得に被害者のみでなく家族の労働等が含まれている場合は、被害者の寄与分のみを基礎収入とします。
確定申告をしていなくて、所得額が明確でなかったり、所得が平均賃金以下であったりするケースでは、賃金センサスの平均賃金を用いることがあります。しかし、この場合は平均賃金が得られる可能性があることを証明しなければなりません。
また、現実の減額がなかった場合は、逸失利益が否定されるのが原則ですが、今後減収の可能性があったり、減収回避の努力を行った結果であったりといった事情が認められれば、逸失利益も否定されない可能性があります。
被害者が会社役員であった場合、役員報酬は労務の対価的なものと、利益配当という性格をもつものがあります。基礎収入として認められるのは、前者の部分のみになります。労務の対価的部分については、会社の規模や被害者の職務内容等をみて総合的に判断されます。
労働力喪失率は後遺障害の等級によって、数値が変わります。
1級 | 2級 | 3級 | 4級 | 5級 | 6級 | 7級 |
100% | 100% | 100% | 92% | 79% | 67% | 56% |
8級 | 9級 | 10級 | 11級 | 12級 | 13級 | 14級 |
45% | 35% | 27% | 20% | 14% | 9% | 5% |
労働能力喪失期間は原則的に後遺障害の症状固定日(治療を継続してもこれ以上症状が改善する見込みのない状態)から、67歳までとなっています。しかし、むちうちに関しては、後遺障害等級14級で5年程度かそれ以下、12級で10年程度か、5~10年とされ、労働能力喪失期間は短くなるのが一般的です。
ライプニッツ係数は中間利息控除するための係数のことを指します。逸失利益は一括で前払いしてもらうため、今後発生するであろう期間における利息も一緒に受け取ることになります。この利息を控除するための係数のことをライプニッツ係数といいます。