HOME > よくある質問 > 損害賠償について > 無職者が死亡した場合の逸失利益について教えてください。
会社を解雇され無職になっていた父が交通事故に遭い、死亡しました。解雇後父は就職活動をしており、内定をもらっていたので、就職予定でした。
この場合、逸失利益の算定はどのようになりますか。
被害者が失業者だった場合、将来において就労可能性が高い場合、就労可能性を裏付けるものがある場合は、死亡の逸失利益が認められることもあります。
交通事故に遭った被害者が死亡してしまった場合、その逸失利益はどのように計算するのでしょうか。交通事故で死亡することがなければ、得られたであろう利益が逸失利益で、加害者に損害として請求できます。交通事故に被害者が死亡した場合の逸失利益の計算式は下記のとおりとなります。
1年あたりの基礎収入×(1-生活控除)×就労可能年数に対応したライプニッツ係数
では、交通事故によって死亡した被害者が無職者であった場合、逸失利益は認められるのでしょうか。
被害者が失業者だった場合、将来において就労可能性が高い場合、就労可能性を裏付けるものがある場合は、死亡の逸失利益が認められることもあります。その際は、事故前の収入を基礎年収として用いることになります。
一方で、就労していない期間が長期であったり、求職活動を全くしていなかったりする場合は、逸失利益が認められないこともあります。
死亡による逸失利益とは、交通事故に遭わなければ得られていたはずの収入を損害とすることです。しかし、死亡しなければ、収入の中から毎日の生活費が引かれていきます。この死亡しなければ発生していた生活費を逸失利益から控除することを生活控除といいます。
では、生活控除はどのように算出して控除されるのでしょうか。細かく全ての生活費を控除することは不可能なので、生活控除表という被害者の収入や性別、家族関係等を考慮して作成された表を用います。
被害者の区分 | 控除率 |
一家の支柱(被扶養者1名) | 40% |
一家の支柱(被扶養者2名以上) | 30% |
女性(主婦、独身、幼児等を含む) | 30% |
男性(独身、幼児等を含む) | 50% |
年金受給者 | 60%(通常よりも高く設定される場合がある。50~80%程度とされることもある)年金のほとんどを生活費として費消するため |
就労可能年数は原則として67歳に達するまでの年数です。死亡時から67歳までの期間を就労可能年数として計算します。しかし、死亡時から67歳までの期間が、簡易生命表における平均余命の2分の1より短い場合は、平均余命の2分の1を就労可能年数とします。また、被害者が67歳を超える場合で終了可能性が高いのであれば、平均余命の2分の1が就労可能年数となります。
ライプニッツ係数は中間利息控除するための係数のことを指します。逸失利益は一括で前払いしてもらうため、今後発生するであろう期間における利息も一緒に受け取ることになります。この利息を民法上の法定利息年5%で計算して、控除します。例えば1年後に100万円受け取るはずが、今受け取るとしたら、1年後に100万円となるように、元金を計算して、利息分を控除するということです。ライプニッツ係数は、この利息計算のための係数ということです。