HOME > よくある質問 > 損害賠償について > 過失割合の修正要素について教えてください。
交通事故における過失割合の修正要素とは、基本の過失割合を交通事故の事案によって個別に調整するための加算要素や減算要素のことを指します。
過失割合は判例タイムズ社「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」に記載の基準をもとに判断します。交通事故は個々の事案によって様々です。個別事案によって修正することで、一律同じ過失割合とする不都合を解消しようとするものです。
過失修正の主なものとしては、事故の時間帯が夜中であった、飲酒運転など著しい過失や重過失があった、被害者が歩行者、高齢者、幼児であった等です。
下記に具体的に挙げていきます。
車対歩行者
歩行者の加算要素:5~20%加算
夜間 | 日没から日の出まで。車はそのライトにより歩行者から容易に発見できる |
幹線道路 | 幹線道路としての交通量の多い県道・国道 |
横断禁止場所 | 道交法13条2項にて横断禁止されている道路 |
直前直後横断 | 道交法13条1項にて車の直前や直後の横断禁止 |
佇立・後退・ふらつき | 立ち止まったり、後退したりふらつきながら歩行することの禁止 |
車対歩行者
歩行者の減算要素
幼児・児童・老人 | 幼児6歳未満 児童6歳以上13歳未満 老人おおむね65歳以上 |
集団横断(通行) | 集団登校や横断者が多数いる場合車から容易に発見できる |
車両の著しい過失 | わき見運転などの前方不注視 酒気帯び運転 時速15キロ以上30キロ未満の速度違反 著しいハンドルまたはブレーキの操作ミス |
車両の重過失 | 居眠り運転 無免許運転 酒酔い運転 時速30キロ以上の速度違反 嫌がらせ運転等の故意に準ずる加害行為 |
車歩道の区別なし | 車歩道の区別がない道路では、道路の幅員が狭くより危険であることを認識できる |
道交法71条2号該当者 | 身障者用車いすの乗っている者 目の見えない者 その他傷害がある者が一定の杖を携えている場合 盲導犬を連れて通行している場合 |
著しい過失 | わき見運転など前方不注視が著しい場合 酒気帯び運転 時速15キロ以上30キロ未満の速度違反 著しいハンドルまたはブレーキの操作ミス |
重過失 | 居眠り運転 無免許運転 酒酔い運転 時速30キロ以上の速度違反 嫌がらせ運転等の故意に準ずる加害行為眠り運転 |
大型車 | 大型車は運転手の注意義務が高い |
直近右折 | 直進車の至近距離で右折する場合 交差点で直進車が停止線を越え、交差点に入る付近で開始した右折も直近と解される |
早回り右折 | 交差点の中心の直近の内側を進行する右折の方法によらない右折 |
大回り右折 | 道路の中央によらない右折 |
既右折 | 右折しようとする車が対向直進車線に入っている場合で、対向直進車が注意すれば事故が避けられた場合 |
道交法50条違反の直進 | 交差点などの進入が禁止される状況で交差点に進行した場合 |
バイクの場合は、基本的に自動車間の交通事故ケースと同じ修正要素が用いられますが、バイクはヘルメットを着用する義務があるので、これに違反した場合は過失割合が大きくなり、特に高速道路でヘルメットを装着しなかった場合は重過失となります。また、ハンドルの操作ミスによる過失割合の増加も認められる場合があります。