HOME > 後遺障害について
交通事故の後遺障害について絶対に抑えるべきことをどこよりも詳しく解説いたします。
後遺症が心配の方は必ず弁護士にご相談ください。交通事故の賠償金は、弁護士に依頼することで2倍以上の増額が期待できます。
ここではこのことも詳しく解説いたします。
「後遺障害」と「後遺症」は異なるものです。
「後遺障害」とは、交通事故が原因であることが医学的に証明されると共に、労働能力の低下(あるいは喪失)が認められ、さらに、その程度が自賠責保険の等級に該当するものと定義されています。 それに対し,「後遺症」とは、怪我や病気などの治療が完了した後にも残ってしまった、機能障害や神経症状など残存症状のことを意味しています。
したがって、事故の後に負った後遺症だったとしても、上記の条件に当てはまらない場合は「後遺障害」と認められません。
後遺障害が認定されると、加害者側に対し、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求できることになります。
後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ったことにより生じる精神的損害に対する慰謝料です。残存の後遺障害の等級が自賠責保険の等級に該当すると認められた場合、または裁判により後遺障害として認定された場合に発生する慰謝料です。後遺障害慰謝料は、自賠責基準、任保険会社の基準、弁護士(裁判)基準と3つの基準があります。
後遺障害逸失利益とは、後遺障害が残ったことにより、能動能力が低下したことを理由とし、交通事故がなければ本来得られていたはずの収入が得られなくなったことの損害をいいます。
なお、後遺障害等級が重度であって、交通事故により将来にわたって介護が必要となる場合には、将来の介護費なども請求することができる場合があります。
後遺障害等級は、部位、障害の系列(例えば、上肢の機能障害とか、下肢の欠損障害など)及び障害の序列(労働能力の喪失の程度に応じた順序)に従って1級から14級まで定められています。
ここにいう「障害の系列」は、35系列に細かく整理されており、例えば、部位の一つである「眼」について、眼球とまぶたに部位を細分し、眼球の視力障害、調整機能障害、運動障害、視野障害という障害別にさらに細分するなどされています。
併合:系列の異なる後遺障害が2つ以上ある場合、重い方の後遺障害等級を基準とするとか、後遺障害等級を繰り上げるなどすることがあります。これを併合といいます。併合には様々なルールがありますので弁護士に確認されることが大切です。
準用:障害等級表に載っていない障害についても、障害の内容などから、障害等級表を参考に例外的に等級を定めることがあり、これを準用といいます。例えば、嗅覚脱失や味覚脱失などがあります。
加重:事故以前から後遺障害を持たれていた場合で、交通事故でその後遺障害の程度が重くなった場合には、その悪化した部分を後遺障害として等級と認めることがあり、これを加重といいます。
賠償の対象は、
(事故後の等級)-(事故前の等級)=差額
になります。
後遺障害等級認定の申請をするためには、症状固定後、主治医に後遺障害診断書を作成してもらい、加害者の加入している自賠責保険に提出する必要があります。なお、症状固定とは、治療を継続しても、それ以上良くも悪くもならない状態に至ったことをいいます。
後遺障害等級認定の申請方法は、この手順を誰が行うかによって、事前認定と被害者請求の2通りがあります。
事前認定とは、加害者側の任意保険会社が、後遺障害等級認定の申請を行ってくれる方法です。被害者は、医師に作成してもらった後遺障害診断書を、加害者側の任意保険会社に提出するだけで、他に何かをする必要はありません。加害者の任意保険会社にすべて任せられるため、被害者としては楽な方法です。
しかしながら、加害者側である任意保険会社が被害者のために丁寧に手続きを進めてくれるとはあまり期待できません。
被害者請求とは、交通事故の被害者が、自分で後遺障害等級認定の申請を行う方法です。後遺障害診断書に添付する資料を自ら精査することができるため、事前認定と比べて、納得のいく等級が認定される可能性が高いといえます。
適正な後遺障害等級の認定を受けるためには、被害者請求によることが大切です。
交通事故の損害賠償額は、認定された後遺障害等級に従って算定するため、後遺障害が低く認定されるとか、非該当とされると、損害賠償額が大幅に減ってしまうことになります。
後遺障害等級の申請手続きは、必ず「被害者請求」によりましょう。
後遺障害等級については、保険会社に対して、下記のような必要書類・資料を送付し、審査を受けることで認定されます。
① 自賠責保険支払請求書兼支払指図書
② 交通事故証明書、事故発生状況報告書
③ 診療報酬明細書及び診断書(毎月発行されるもの)
④ 後遺障害診断書
⑤ レントゲン、MRI等の画像
後遺障害の内容は、このような書面で証明する必要があり、これを書面主義といいます。
レントゲンやMRI画像のような画像により後遺障害があることを示すことができる場合は、そのことを丁寧に資料で示していくことになります。
一方、このような画像では後遺障害があることを示せない場合は、医師の診断書などにより、後遺障害があることを立証していくことが必要になります。
いずれの場合においても、医学的な知識が必須ですが、それに加えて、後遺障害等級の認定基準はとても曖昧なところがあり、例えば、「局部に神経症状を残すもの(14級9号)」とは、どのような意味であるのかを正しく理解している必要があり、それには法律的な知識が不可欠になります。
後遺障害等級の認定申請においては、このような書面主義があるがゆえに、なお一層、医学的な知識と法律的な知識が必要になるといえます。
後遺障害等級の認定で特に重要なこととして,次の5つをご紹介します。
① 症状固定時期
② 交通事故との因果関係の証明
③ 後遺障害診断書
④ 通院期間と通院頻度
⑤ 不服申し立て
症状固定とは、治療を継続しても、それ以上良くも悪くもならない状態に至ったことをいいます。後遺障害等級認定の申請は、症状固定後にははじめて可能になります。
症状固定に至ってからでないと、適切な等級が認定されないというおそれもあるため、症状固定の時期を早まらないことが大切です。また、症状固定後の治療については、原則として損害として加害者に請求できないですので、その意味でも症状固定の時期は適切に見極めなければなりません。
後遺障害等級が認定されるためには、交通事故との因果関係の証明ができなければいけません。因果関係の証明ができない場合、交通事故による後遺障害とはいえないので、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益の請求は認められなくなってしまいます。
後遺障害等級認定は、後遺障害診断書を中心とした書面による審査がなされるため、後遺障害診断書の記載内容が非常に重要です。後遺障害診断書の記載に過不足などがあることから、不適切な後遺障害等級が認定されてしまうこともあります。
適切な後遺障害診断書を作成するには、相応の法的知識と医学的知識が必要になります。
後遺障害の等級認定では、症状固定後の後遺障害診断書の記載内容のみにより判断されるのではなく、交通事故直後の診断内容や症状、その後の治療経過などの事情も重要視されます。そのため、適切な頻度で、適切な治療を受け、通院・受診の際には、医師に自分の痛みやしびれ、症状等を正確に伝え、できる限りカルテや診断書に記録してもらうことが大切です。
後遺障害等級認定が認定されると、それに従って、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益が算定されます。もっとも、一度認定された後遺障害等級でも、「異議申し立て」をすることで覆すことができます。しかし、そのためには、不服な等級認定あるいは非該当となった理由を理解し、それを補う新たな検査資料等を揃えることが必要です。適切に異議申し立て手続を行うためには、高度の医学的・法律的な専門知識が必要となります。
ここでは、実際に加害者側(任意保険会社)に対して請求する損害の算定についてご紹介していきます。弁護士に依頼することにより、過去の裁判の相場に従った適正な賠償金を請求し、任意保険会社の提示する賠償金からの増額を期待することができます。
弁護士が加害者側(任意保険会社)に請求する場合、「後遺障害慰謝料」と「後遺障害逸失利益」とを分けて計算して請求します。
まず、後遺障害慰謝料は次のような基準で請求します。
介護を要する後遺障害の場合の等級及び限度額()内は保険金総額
第1級 | 1600万円(4000万円) |
第2級 | 1163万円(3000万円) |
上記以外の後遺障害の場合の等級及び限度額
第1級 | 1100万円(3000万円) |
第2級 | 958万円(2590万円) |
第3級 | 829万円(2219万円) |
第4級 | 712万円(1889万円) |
第5級 | 599万円(1574万円) |
第6級 | 498万円(1296万円) |
第7級 | 409万円(1051万円) |
第8級 | 324万円(819万円) |
第9級 | 245万円(616万円) |
第10級 | 187万円(461万円) |
第11級 | 135万円(331万円) |
第12級 | 93万円(224万円) |
第13級 | 57万円(139万円) |
第14級 | 32万円(75万円) |
第1級 | 2800万円 |
第2級 | 2370万円 |
第3級 | 1990万円 |
第4級 | 1670万円 |
第5級 | 1400万円 |
第6級 | 1180万円 |
第7級 | 1000万円 |
第8級 | 830万円 |
第9級 | 690万円 |
第10級 | 550万円 |
第11級 | 420万円 |
第12級 | 290万円 |
第13級 | 180万円 |
第14級 | 110万円 |
上の表からわかるように、等級によっては、後遺障害慰謝料のみで自賠責保険の保険金の額を超えることもあります。例えば、14級9号の場合、自賠責保険会社から受け取れる後遺障害慰謝料は32万円ですが、弁護士が介入すると、後遺障害慰謝料のみで加害者側(任意保険会社)に110万円請求できます。
次に、仕事ができなくなったことに対する補償(逸失利益)も算定します。
逸失利益の計算式は以下の通りです。
基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に応じたライプニッツ係数
例えば、40歳で年収が額面700万円のサラリーマンの男性の方が後遺障害等級12級の後遺障害が認定された場合を考えてみましょう。
この場合、基礎収入が700万円、12級の労働能力喪失率が14/100(=0.14)、67歳までの27年間に対応するライプニッツ係数が14.643です。
これを計算してみますと、700万円 × 0.14 × 14.643 = 1435万0140円です。
もっとも、このような計算になるわけではありません。後遺障害の程度や被害者が就いていた仕事の内容によって、労働能力喪失率は変わってきますし、時間が経つことによって影響が少なくなると考えられる後遺障害は、労働能力を喪失している期間が短くなる可能性があります。
以上までに見たように、後遺障害の認定を受けるためには、法的な知見に基づいた主張立証活動が必要であり、ご自身でそのような法的対応を進めることは容易ではありません。また、後遺障害等級が認められるか否かにより、慰謝料額や逸失利益の額は大きく変わりますから、後遺障害の認定には徹底して拘ることが大切です。このような法的知見及び医学的知見を要する後遺障害認定に関する対応は、それに長けている弁護士に相談することがやはり有益です。治療を続けていく中で、後遺障害の不安がある方は、必ず、弁護士に相談されることをお勧めいたします。
当事務所には、現役の医師の弁護士が所属しており、医学的な視点にも強みをもっています。したがって、後遺障害等級認定などにも徹底的にこだわって対応しています。このような後遺障害等級の認定により、慰謝料額や逸失利益などの賠償金が大きく変わりますから、当事務所は、適正な賠償金を獲得するため、徹底して医学的知見を重要視して対応しています。
また、後遺障害等級の申請は、法的な主張立証の場面ですが、当事務所は、元裁判官の弁護士が所属していることから、そのような主張立証活動を得意としています。後遺障害等級の申請の主張立証は、書面により判断されることからも、そのような主張立証活動には裁判手続きでの経験が必須といえます。
当事務所静岡支店は、土日夜間のご相談にも柔軟に応じておりますので、まずは初回の無料相談にてお気軽にご相談ください。必ずお力になります。