HOME > 後遺障害について>後遺障害による逸失利益の詳細
後遺障害等級が認定された場合、「逸失利益」を損害としてその賠償を請求できます。「逸失利益」とは、後遺障害によって労働能力を一定程度喪失したと観念できるため、その喪失した労働能力を損害と評価するものといえます。
「逸失利益」は、下記の①×②×③により算出されます。
①被害者の方の年収の基準値(一般的には、事故前年収)
×
②労働能力の喪失率(一般的には下記の表)
×
③労働能力喪失期間(一般的には67歳―症状固定時年齢)に対応する一定の係数(ライプニッツ係数等)
後遺障害による労働能力喪失率は、基本的には労働基準局長通牒(S32.7.2基発551号)別表労働能力喪失率が基準とされており、以下がその労働能力喪失率の表になります。
もっとも、必ずこの表の通りに認定されるということではなく、後遺障害の内容と被害者の仕事の内容を照らし合わせるなどして、下記の表よりも高い労働能力喪失率が認定されることもあります。
第1級 | 100% |
第2級 | 100% |
第3級 | 100% |
第4級 | 92% |
第5級 | 79% |
第6級 | 67% |
第7級 | 56% |
第8級 | 45% |
第9級 | 35% |
第10級 | 27% |
第11級 | 20% |
第12級 | 14% |
第13級 | 9% |
第14級 | 5% |
後遺障害による労働能力喪失期間について、そもそも労働可能な年齢は、原則として67歳までとされています。もっとも、67歳を超えても個別の事情により労働能力が認められる場合もあります。
労働能力喪失期間は、後遺障害の内容に応じた定型的な期間が示されることもありますが、具体的な喪失期間については個々の後遺障害により個別に認定されることになります。
例えば、むち打ちで14級の後遺障害が認定された場合には労働能力喪失期間を5年とされるとか、むち打ちで12級の後遺障害が認定された場合には労働能力喪失期間を10年とされることが多いですが、個別の事情によってはその期間がより長い期間とされることもあります。
ライプニッツ係数は中間利息控除するための係数のことを指します。
逸失利益は一括で前払いしてもらうため、今後発生するであろう期間における利息も一緒に受け取ることになるため、この利息を民法上の法定利息年5%で計算して、これを控除する必要が生じます。例えば、1年後に100万円受け取るはずが、今受け取るとしたら、1年後に100万円となるように、元金を計算して、利息分を控除するということになります。