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脊髄障害

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脊髄損傷とは

脊髄損傷とは、脊柱の損壊により脊髄が損傷を受ける病態などといわれます。
診断書には、頸髄損傷、胸髄損傷、腰髄損傷、中心性脊髄損傷などの傷病名が記載されることがありますが、これらはいずれも「脊髄損傷」に該当します。

そもそも脊髄とは、背骨の中の空間(脊柱管といいます)収められている脳から連続する中枢神経(神経の束)のことをいいます。手足などには末梢神経がありますが、脳からの信号は、中枢神経を経て末梢神経に伝達されることで手足は動くようになっています。つまり、脊髄とは脳からの信号を全身に伝達する重要な器官です。
脊髄が損傷することにより、このような脳からの信号が全身へ伝達されなくなり、全身又は身体の一部が麻痺するなどの症状を起こします。一度傷ついた脊髄を再生させる、いわば再生医療は、国内でも様々な研究等が行われていますが、現在までに再生方法は確立されておらず、今後の医学の進歩が待たれています。

ここでは、交通事故により脊髄損傷とされた場合の損害賠償請求について、絶対に抑えておくべきことをどこよりも詳しく解説いたします。加害者に然るべき責任を取らせ、被害者やご家族の負担を可能な限り軽減するためには正しい法的な知識が必要です。どうぞご参考になさって下さい。

脊髄と脊椎は別物です。脊髄は前述のとおり、脊柱を走る中枢神経のことを指し、脊椎は背骨を形成する33個の骨片のことを指します。

脊髄損傷による損害賠償

交通事故により脊髄損傷となった場合、その損害賠償責任は極めて重いものとされます。脊髄損傷の損害項目として、大きく次のものがあります。

  1. 治療費、付添費等
  2. 休業損害
  3. 慰謝料
  4. 逸失利益
  5. 将来の介護に必要な費用

ここでは、脊髄損傷において特に重大な損害とされる③、④及び⑤について詳しく解説し、交通事故により通常問題となる①治療費、付添費等、②休業損害については「損害賠償」のページで詳しく解説していますので割愛します。

この③、④及び⑤の損害は、脊髄損傷により後遺障害等級が認定されることにより請求できる損害賠償金であるため、脊髄損傷の後遺障害等級について詳しく把握しておくことが重要です。
とりわけ、腰髄損傷、中心性脊髄損傷の場合には、その症状により後遺障害等級が大きく異なることが多いため、後遺障害等級の理解が非常に重要になります。

脊髄損傷の後遺障害

後遺障害等級表

脊髄損傷の後遺障害等級は、次のように整理されます。

第1級 脊髄症状のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの ①高度の四肢麻痺が認められるもの
②高度の対麻痺が認められるもの
③中程度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの
④中程度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの
第2級 脊髄症状のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、随時介護を要するもの ①中程度の四肢麻痺が認められるもの
② 軽度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの
③中程度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの
第3級 生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、脊髄症状のために労務に服することができないもの ①軽度の四肢麻痺が認められるものであって、 食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要しないもの
② 中程度の対麻痺が認められるものであって、 食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要しないもの
第5級 脊髄症状のため、きわめて軽易な労務のほかに服することができないもの ①軽度の対麻痺が認められるもの
②一下肢の高度の単麻痺が認められるもの
第7級 脊髄症状のため、軽易な労務以外には服することができないもの 下肢の中程度の単麻痺が認められるもの
第9級 通常の労務に服することはできるが、脊髄症状のため就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの 下肢の中程度の単麻痺が認められるもの
第12級 通常の労務に服することはできるが、脊髄症状のため多少の障害を残すもの ①運動性、支持性、巧緻性及び速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺を残すもの
②運動障害は認められないものの、広範囲にわたる感覚障害が認められるもの

麻痺の範囲と麻痺の分類

上記後遺障害等級表からわかるように、脊髄損傷の後遺障害等級は、麻痺の範囲(四肢麻痺、片麻痺、単麻痺、対麻痺)と麻痺の分類(高度、中等度、軽度)に応じて等級が認定されています。この麻痺の範囲と麻痺の分類をまとめると次のようになります。

麻痺の範囲

四肢麻痺:頸髄損傷により、両上肢下肢(首から下)が麻痺
対麻痺:胸髄、腰髄、仙髄、馬尾損傷により、両下肢が麻痺
片麻痺:脊髄損傷により、一方の上肢及び可否に麻痺
短麻痺:脊髄損傷によち、一方の上肢又は下肢に麻痺

麻痺の程度

高度 運動性・支持性 障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性がほとんど失われている状態
基本動作 障害のある上肢または下肢の基本動作(物を持ち上げて移動させたり、立ったり歩行すること)ができない状態

 

上肢

完全強直またはこれに近い状態にあるもの

三大関節および5つの手指のいずれの関節も自動運動によって可動させることができないもの、またはこれに近い状態にあるもの

随意運動の顕著な障害により、障害を残した一上肢では物を持ち上げて移動させることができないもの

下肢

完全強直またはこれに近い状態にあるもの

三大関節のいずれも自動運動によって可動させることができないもの、またはこれに近い状態にあるもの

随意運動の顕著な障害により、一下肢の支持性および随意的な運動性をほとんど失ったもの

中等度 運動性・支持性

障害のある上肢または下肢の運動性・支持性が相当程度失われている状態

基本動作 障害のある上肢または下肢の基本動作にかなりの制限があるもの
 
上肢

障害を残した一上肢では、仕事に必要な軽量の物(おおむね500グラム)を持ち上げることができないもの、または障害を残した一上肢では文字を書くことができないもの

下肢

障害を残した一下肢を有するため、杖もしくは硬性装具なしには階段を上ることができないもの、または障害を残した両下肢を有するため杖もしくは硬性装具なしには歩行が困難であること

軽度 運動性・支持性

害のある上肢または下肢の運動性・支持性が多少失われている状態

基本動作

障害のある上肢または下肢の基本動作を行う際の巧緻性および速度が相当程度損なわれているもの

 
上肢 障害を残した一上肢では文字を書くことに困難を伴うもの
下肢

日常生活はおおむね独歩であるが、障害を残した一下肢を有するため不安定で転倒しやすく速度も遅いもの、または障害を残した両下肢を有するため杖もしくは硬性装具なしには階段を上ることができないもの

損傷の程度別の後遺障害

脊髄損傷には、損傷の程度により「完全損傷」と「不完全損傷」に分類されます。

完全損傷は、脊髄が横断的に離断されることにより神経伝達機能が完全に断たれることをいい、損傷部位以下の機能が完全に麻痺します。この場合には、麻痺の程度が「高度」とされ、後遺障害等級が1級とされることが通常であり、特に、頸髄損傷、胸髄損傷の場合に問題となりやすいといえます。

不完全損傷は、脊髄が横断的に離断されているわけではないが損傷しているという状態であり、麻痺を含む様々な症状を発症します。この場合には、後遺障害等級の判断が複雑になり、麻痺の程度が「高度」ではなく、「中等度」又は「軽度」とされることもあり、上記の後遺障害等級表に従って等級が認定されることになり、特に、腰髄損傷、中心性脊髄損傷の場合に問題となりやすいといえます。

脊髄損傷の慰謝料

脊髄損傷の慰謝料としては、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料が問題となります。

入通院慰謝料とは、入院期間と通院期間に応じて支払われる慰謝料であり、入院や通院をしたこと自体に対する精神的苦痛への賠償金といえます。一方、後遺障害慰謝料とは、交通事故により後遺障害が残った場合に支払われる慰謝料をいい、1級から14級までの等級認定の結果に応じて慰謝料額が決まります。

例えば、頸椎損傷により後遺障害等級1級が認定された場合の後遺障害慰謝料は、自賠責基準では1600万円となり、弁護士基準では2800万円となります。

この自賠責基準とは最低限の保証であり、実際に適正な賠償額を得るには弁護士基準によらなければなりません。しかし、加害者側の保険会社は弁護士基準よりもはるかに低い金額で示談するよう求めてきます。

我々弁護士は、後遺障害慰謝料を弁護士基準で支払うよう求め、保険会社も弁護士から請求を受けた時にはそれに応じるようになります。そのため、後遺障害慰謝料の額は、弁護士に対応を依頼するだけで大幅に増額することが非常に多いですので、脊髄損傷の慰謝料請求は必ず弁護士に依頼されることをお勧めいたします。

なお、後遺障害慰謝料の弁護士基準は次の通りです。

等級 弁護士(裁判)基準 任意保険の慰謝料 自賠責保険の慰謝料
1級 2800万円 1300万円 1100万円
2級 2370万円 1120万円 958万円
3級 1990万円 950万円 829万円
4級 1670万円 800万円 712万円
5級 1400万円 700万円 599万円
6級 1180万円 600万円 498万円
7級 1000万円 500万円 409万円
8級 830万円 400万円 324万円
9級 690万円 300万円 245万円
10級 550万円 200万円 187万円
11級 420万円 150万円 135万円
12級 290万円 100万円 93万円
13級 180万円 60万円 57万円
14級 110万円 40万円 32万円

脊髄損傷と逸失利益

逸失利益とは、脊髄損傷にならなければ将来働いて得られたはずの利益をいい、次のような計算式により算出されます。

①被害者の方の年収の基準値(一般には事故前年収)
       ×
②労働能力の喪失率
       ×
③労働能力喪失期間(一般的には67歳―症状固定時年齢)に対応する一定の係数(ライプニッツ係数等)

例えば、頸椎損傷により後遺障害等級1級と認定された場合などには、被害者は労働能力を100パーセント喪失するとされるため、年齢や収入等によって、逸失利益は非常に高額になります。

なお、ライプニッツ係数とは中間利息控除するための係数のことを指します。逸失利益は一括で前払いしてもらうため、今後発生するであろう期間における利息も一緒に受け取ることになるため、この利息を民法上の法定利息年5%で計算されることになっています。

このように脊髄損傷の場合、逸失利益が非常に高額になることがあるため、加害者側としては、その賠償額をできるだけ減額しようと様々な反論をしてきます。これに対しても、客観的資料等をもって再反論を徹底することが重要です。

労働能力喪失率

1級 2級 3級 4級 5級 6級 7級
100% 100% 100% 92% 79% 67% 56%
8級 9級 10級 11級 12級 13級 14級
45% 35% 27% 20% 14% 9% 5%

脊髄損傷と将来の介護に要する費用

脊髄損傷の場合、将来の介護の為に様々な費用が必要になり、特に問題となる項目としては次のようなものがあります。

  1. 将来の付添費、介護雑費
  2. 介護器具等購入費
  3. 家屋等改造費

将来の付添費とは、ご家族が被害者の介護にあたること自体に支払われる賠償金です。実務では、職業付添人は実費全額、近親者付添人は1日につき8000円という基準が参考にされており、事情により増額することもあるため、将来の介護費用はかなり高額になることが一般的です。

将来の介護雑費とは、タオルやおむつ代、排せつに必要な医療器具代などの消耗品等の費用として支払われる賠償金です。実務では、入院雑費としては1日1500円を基準とされますが、事案ごとに個別に検討する必要があります

なお、将来の付添費と介護雑費は、生存期間に対するライプニッツ係数をかけることで算出されます。

介護器具等購入費とは、例えば、介護ベッドや介護用浴槽、車椅子などの購入費として支払われる賠償金です。また、家屋等改造費とは、例えば、家屋をバリアフリーにするための費用や転居費用、昇降リフトの設置費用として支払われる賠償金です。

弁護士に脊髄損傷を相談するメリット

交通事故の脊髄損傷は、後遺障害に該当するか否かについて大変専門的な医学的及び法的判断が求められます。とりわけ、脊髄損傷は、その程度により後遺障害等級が大きく異なるため、しっかりと状況を踏まえて適正な後遺障害等級を獲得することが大切となります。また、交通事故後の治療や示談交渉は非常にストレスを伴うものであり、そのような様々なストレスのかかる中で、ご自身で適正な後遺障害等級を獲得することは到底容易なことということはできません。そのような対応については、やはり弁護士に一任し、被害者の方やそのご家族としては、その治療に専念されることが必要というべきと思います。

弁護士は、そのような脊髄損傷の後遺障害認定に長けていますから、交通事故の脊髄損傷でお悩みの方は、一度弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

当事務所の脊髄損傷への対応力

当事務所には、現役の医師の弁護士が所属しており、「脊髄損傷」という難しい医学的判断が求められるケースに非常に強みを持っています。脊髄損傷がどのような後遺障害と認められるかは先端的な医学的及び法的知識を正しく踏まえ、客観的資料による主張立証を尽くすことができるかにかかっています。当事務所は、そのような医学的な専門性を有しているのみならず、元裁判官の弁護士が所属していることなどから、脊髄損傷の後遺障害等級認定手続きにおける主張立証活動を得意としています。ご自身ではどのような資料を提出するべきかなどの判断をすることは容易ではなく、その判断を誤れば、より高い等級の後遺障害が認定されるべきところが、低い後遺障害等級で認定されてしまうこともあります。

当事務所静岡支店は、土日夜間のご相談にも柔軟に応じておりますので、まずは初回の無料相談にてご相談をお聞きいたします。

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