HOME > 死亡事故の裁判例 >交通事故により死亡した被害者(34歳・女・主婦・パート労働者)の慰謝料等を判断した裁判例
死亡による慰謝料について、主婦として家事及び育児に当たるとともに、パート勤務により経済的にも寄与していたこと、パート先での勤務状況、子らの精神的ショックの大きさ、夫が勤務を制限して家事や育児を1人で行う生活を余儀なくされていることなどから、被害者の死亡慰謝料として2000万円が認められた事例。
遺族の固有の慰謝料について、被害者が主婦として家事及び育児に当たるとともに、パート勤務により経済的にも寄与していたこと、パート先での勤務状況、子らの精神的ショックの大きさ、夫が勤務を制限して家事や育児を1人で行う生活を余儀なくされていることなどから、夫につき300万円、子らにつき各200万円、両親につき各50万円が認められた。
死亡による逸失利益につき、被害者のパート勤務の内容や継続的就労の意欲を考慮しても、被害者の稼働内容としては主婦労働を主とするものであるとして、賃金センサスによる産業計・企業規模計・女性労働者全年齢平均賃金を基礎収入とし、生活費控除率を30パーセントとして算定が行われた。
死亡事故の被害者が主婦(パート勤務)の事例です。死亡慰謝料として、本人分を2000万円とし、遺族の慰謝料としても比較的高額な慰謝料が認められています。慰謝料の算定において、子ども達の精神的ショックの大きさや夫が一人で育児と家事を行う生活を余儀なくされていることなどが重要な事情として適示されています。また、逸失利益としては、パート勤務をしていたものの、主婦労働を主としていたことから、単にパート勤務の所得を基礎とせず、主婦労働を給与換算して所得を算定しています。パート勤務の所得を基礎とした場合よりも高額な逸失利益を算定しており、死亡事故の被害者及び遺族の救済を図った裁判例であるといえます。